しつらえは、茶会の趣向にそって、掛軸や花、茶道具を組み合わせることから始まります。煎茶は中国文人趣味の一つとして江戸時代に伝来したものですから、お席は開放的で比較的制約なく自由に作ることができます。

 日本は、ほぼ温帯に属し四季がはっきりしており、美しい自然が身近に感じられる素晴らしい国です。春ならば爛漫の花木、秋ならば紅葉を飾り、季節の到来を喜ぶ茶席も多くみられます。また祝い事があれば、めでたい色や文様の茶器を合わせるとより気分が浮き立ちます。しつらえ次第で茶席の雰囲気はがらりと変わりますから、空間をプロデュースする楽しみがあります。

 まずは、お床(とこ)に飾る掛軸を選ぶとよりスムースに席のしつらえができるでしょう。禅語や季節をあらわす書画がその茶席のテーマとなります。それからお花や茶器を合わせます。それぞれの茶器の持つ雰囲気、形、色、質感がお互いを引き立てあうように道具を合わせてみましょう。必ずしも名品を使う必要はありません。現代作家の道具や日常の器を見立てて使うのも楽しいものです。

日本礼道小笠原流事務局

25ans 2009年10月号より